新発注基盤システムRAIDEN™の稼動開始
~ 「板乗りサクサク」&「下り最速」従来の10倍速で稼動する新発注基盤を完全内製化 ~

2014年11月7日 [お知らせ]

カブドットコム証券株式会社は、2014年11月4日から、株式の新発注基盤(システム名称:RAIDEN™)の稼動を開始しました。このRAIDEN™は、株式(国内現物株式・信用取引)、先物・オプション取引に対応した、秒間2,000トランザクション以上という従来の発注システムの10倍(※)の能力を誇り、9時直後の大量の寄り付きにおいて、ほぼ1秒以内に約定処理を完了させる超高速システム基盤となります。また、従来の発注システムとは異なり、本来は勘定系システムが管理する部分である、金銭・証券残高管理から始まり、決済管理や信用保証金管理まで、ネット取引において証券がサービス提供を行うために必要な機能を全てワンパックに収めた、新証券統合パッケージシステムとも言えます。

新発注基盤「RAIDEN™」の機能および性能

対象商品 国内株式(現物取引、制度信用取引、一般信用取引)、先物取引(日経225、TOPIX)、日経225オプション取引
提供機能
  • アローヘッド、J-GATEへの注文取次ぎ
  • 注文管理(逆指値、W指値などの条件注文を含む)
  • 約定管理、取引履歴管理
  • 金銭残高管理、金銭振替機能
  • 証券残高管理、信用保証金管理、先物証拠金管理、証券振替機能
処理性能 板乗り速度 約定速度
板乗り速度
9時~15時の中央値(※)
33ミリ秒 約定反映速度
9時~15時の中央値(※)
29ミリ秒
秒間最大約定反映件数
9時3分3秒の1秒間(※)
2,114件/秒
  • 2014年11月4日(火)実績値(東証1部売買代金5兆4304億円 売買代金歴代2位)

当社は従来より、板乗り速度の高速性を高め、注文取次ぎに1秒以上を要した場合は手数料が0円となる、1秒保証を株式の手数料体系に導入しております。従来のシステムでは350ミリ秒程度掛かっていた板乗り速度を10倍の33ミリ秒にまで短縮しております。また、約定処理については、従来は10,000件/分の処理能力(166件/秒)で、寄り付き以降の反映に恒常的に1分強の時間を要しておりましたが、2,114件/秒となる、単位時間あたりの約定処理件数を12.6倍に引き上げました。

これまでの当社の課題

2012年12月17日からのアベノミクス以降、株式市場が活性化し、2013年2月頃より当社の発注システムは約定処理により多くの時間が掛かり、約定通知を数分単位でお待たせしてしまう状況が発生しました。当時、当社ではフロントシステム、発注システム、勘定システムの3つのシステムを連携させており、特に約定処理、いわゆる下り処理における余力更新、残高更新、注文更新等、相互の連携に時間が掛かり、1分間あたり4,000件程度の約定処理能力しかありませんでした。ハードウェア増強を実施しながら、1分間あたり、8,000件程度まで約定処理能力を引き上げましたが、開業当初から13年稼動したシステムを抜本的に刷新する必要があると考え、2013年5月より、新発注基盤構築のプロジェクトを開始、1年半という長い時間が掛かりましたが、この度、十二分な能力を持つ新システムRAIDEN™を稼動させる事が出来ました。

新基盤の必要性

国内の株式市場はグローバル化によって、ますます高速化が求められている状況です。2014年7月には、株式の呼び値の適正化として、株価に小数点が表示されるようになった事は記憶に新しいところですが、2015年には東京証券取引所ではさらに高速なシステムであるアローヘッド2が導入される予定となっております。当社では受注速度を高め、バスケット注文や、逆指値等の複数の条件注文を高速かつ同時にこなせる事、9時の寄付きから数秒後のITを利用した高速発注による大きな値動きの発生に、しっかりと追随して速やかな売買が行えるためのシステムの提供が必要と考えていました。このため、発注系・勘定系・フロントシステムと3つのシステムを可能な限りひとつのシステムに統合する方式を取る事にしました。

高速化技術

まず、基盤となるハードウェア設計においては、全て最新鋭の高速なものを使う事としました。サーバ間のネットワーク遅延をマイクロ秒(百万分の1秒)単位に高速化する事、磁気ディスクには高速なSSDを利用し、物理的なデータ配置も効率よく行う事に注力しました。ソフトウェア設計においては、システム同士のプロセス間通信も徹底的に省くようにしました。この作業は相当に困難を極めましたが、64ビットOSの広大なメモリ空間のメリットを生かし、発注機能・勘定系機能を一つのメインプロセスに収めました。また画面照会のための照会用プロセスも構築し、このプロセス内部にも証券残高および金銭残高を保持し、高速にメインプロセスと同期を取る事で、参照、受注、約定それぞれの処理の競合を排除する事が可能となりました。条件注文を処理するトリガシステムを加えると、OSから見たプロセス数はわずか3つ。ここに数百もの受注・発注・勘定機能に関する当社の業務ロジックが収められています。今回の劇的なパフォーマンス向上が確認された状況にも関わらず、RAIDEN™は充分なシステムの余力を持っており、データベースのCPU利用率は過負荷のタイミングで約20%程度と非常に余裕のある状況となっています。

新発注基盤 RAIDEN

今後のサービス向上とBtoBサービスの検討

年内を目処に、信用保証金の値洗いを引け後の夕方に更新するようにルールの見直しを実施する予定です。また注文訂正時の余力チェックを厳格化いたします。また、現時点においては、基盤の刷新のみですが、年明け以降は注文画面の刷新を進めてまいります。この画面刷新では、お客様の証券残高のリアルタイム評価を筆頭に、解りやすくストレスの無い操作が可能なように抜本的な改善を進めてまいります。また、新システム基盤RAIDEN™は、当社システム基盤としてだけではなく、ネット証券としての基本サービス機能の外部提供を視野に入れた設計としてあります。
三菱東京UFJ銀行をはじめとする証券仲介や、じぶん銀行をはじめとするASP(※)形式による、外部システム提供実績をもとに、グループ内外の証券会社をはじめ各金融機関等へのシステム提供も検討してまいります。

  • ASP アプリケーションの機能をネットワーク経由で顧客にサービスとして提供する事業。

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