第12回 ストキャスティックス
ストキャスティックスというのはRSI同様“買われ過ぎ”、“売られ過ぎ”に着目したテクニカル分析です。株価は期間を区切ってその期間の終値の位置に着目して観測していくと、上昇トレンドにある場合にはその期間値幅の上限に近づいていきます。また、逆に株価が下落トレンドにある場合には終値というものは下限に近づいていくものなのです。
1 期間
終値は期間値幅の真ん中近くに位置している。
2 期間
終値は期間値幅の上限に位置している。
こういった習性を利用したのがストキャスティックスなのです。
%Kと%D
まず、ストキャスティックスでは2本の線の理解が重要となります。
%Kと%Dと呼ばれるものです。それぞれの算出方法は以下の通りです。
%K算出方法
%D算出方法
%Kの算出
%Kの算出期間は一般的には5日間が多く使用されていますが、計算式の意味するところは5日間の変動幅(分母)の中で現在の株価がどの位置にいるかを示すものです。
例えば、右の例にあるように株価が推移したとしましょう。
(5日目)
(6日目)
(7日目)
(8日目)
%Dはこの%Kを移動平均化したものです。一般的には3日間で使用されています。
%Dの算出
(5~7日間)(100+100+62.5)÷3=87.5%
(6~8日間)
(100+62.5+20)÷3=60.83%
このように計算された%Kと%Dをグラフにすると以下のようになります。
売買ポイント
この%Dを使った売買シグナルとしてはRSI同様70%以上が買われすぎ、30%以下が売られすぎと考えます。特に80%以上、20%以下で%Dが反転する時は有効であるといわれています。
また、価格との逆行も一つの目安となります。つまり、株価が高値近辺で上値を切り上げているのにもかかわらず%Dの方は同じ期間でその数値の上値を切り下げてきている状態のことです。この逆、すなわち、株価が底値近辺で下値を切り下げているのにも拘らず、%Dの数値の下値を切り上げている状態です。このような逆行現象が起きた場合にはテクニカル指標の示した方向へ株価が動くケースが多いということになります。下図を参考にしてください。
スローストキャスティックス
更にこの%DをなだらかにしたSDというのがあります(%Dの移動平均化)。そして、SDを更になだらかにしたSDスロー(SDの移動平均化)というのもあります。この場合には2本の線のゴールデンクロス(SDラインがSDスローラインを下から上に突き抜ける)買い、デッドクロス売りも有効であるといわれています。
RSIはその公式(2日目以降の公式)から0および100%になる可能性はほとんど考えにくいです。なぜなら、前日の下落平均ないしは上昇平均の数値に(計算日数-1)をかけることによって、過去のデータがわずかながらも生きることになるからです。
一方、ストキャスティックスは上昇や下落が続くことによって100%や0%という数字が出現することがあります。また、ストキャスティックスの方がRSIよりも数値の動きが上下に激しいという違いが見受けられます。
一般的にRSIは、1つの指標の位置で判断することに対して、ストキャスティックスは複数のラインの位置と動きを利用するものです。
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