投資情報室
旬なテーマを深堀り♪2月末権利取り間近、業績・配当面から優待銘柄をスクリーニング
2017年2月16日(木)
投資情報室 藤井明代
株主優待実施社数は過去最高を更新、優待材料は大きな変動要因に
現在、株主優待を実施する企業は過去最多の1348社に上り、全上場銘柄の約34%が実施するまでに拡大しています(※1)。企業側・投資家ともに株主優待を意識する動きが活発で、足元では株主優待に関するリリースを材料として個別選定色が強まっています。
2月15日は前日に株主優待の拡充を発表したフジ・コーポレーション(7605)の騰落率が前日比で+17%となり、大幅上昇しました。1単元以上保有する株主に対し、現行贈呈する1000円分のギフトカードを5000円分に大幅拡充する内容だったことから投資家の買いを誘いました。一方、同日に株主優待の廃止を発表したサンワカンパニー(3187)は一時S安水準まで売られる展開となりました。同社は優待の廃止と併せて配当の引き上げを発表しましたが、優待廃止の悪材料を払拭させる材料とはならず、売りが殺到しました。どちらも株価の変動率が非常に大きく、株主優待に関する情報に対して投資家の反応が敏感になっていることが分かります。
- ※1 プレスリリースなどをもとに野村IR調べ、2016年12月末時点、全上場銘柄にはREIT、ETFなども含む
2月末権利取りを前に投資家の動きが活発化
足元では2月末の権利付最終売買日を23日に控え、個人投資家の権利取りの動きが活発化してきました。2月の決算銘柄は小売業を中心とするため、株主優待を実施する企業が多いことがその理由としてあげられます。野村インベスター・リレーションズのデータによると、業種別の株主優待実施企業の割合では、食料品の82%に次いで小売業の77%が優待制度を導入しています(※2)。高い割合の背景には、食料品や小売業が消費者向けサービスを展開する企業が多く、自社の商品やサービスを優待として導入しやすい点が挙げられます。そして、商品やサービスを知ってもらうきっかけにし、ファンを増やしたいといった企業側の意向も反映されています。また、各社は株主優待を手厚くし、長期保有を前提とする個人投資家を増やすことで株価の安定につなげたいとの考えも持ち合わせています。そのため、長期保有株主を優遇する株主優待が増加しているほか、ユニークな優待内容の導入が進むなど、企業側の努力も感じることができます。2月権利確定銘柄で例を挙げると、タキヒヨー(9982)が社長こだわりのオリジナルギフトを贈呈しているほか、2月は抽選で10名に50万円分の旅行券があたる優待内容を導入しています。また、トレジャー・ファクトリー(3093)はオリジナルQUOカードや買取金額アップクーポン券に加えて、プレゼント抽選券「トレジャーロト」を贈呈。トレジャーロトはスクラッチを削り、当選者にギフトカードなどの賞品を贈呈するものです。企業側の工夫を凝らした内容が充実し、株主優待は個人投資家にとって魅力の高い制度に成長しています。
- ※2 プレスリリースなどをもとに野村IR調べ、2016年12月末時点、国内上場普通株式を対象とする
2月株主優待実施銘柄スクリーニング
23日の2月末権利付最終日へ向け、今回は2月優待実施銘柄の中から業績や配当面を考慮して銘柄をスクリーニング。連続で増収増益実績をもつ好業績銘柄に加え、連続増配、高配当銘柄をご紹介いたします。
【連続増収増益の2月優待実施銘柄 (5期以上連続増収・純増益)】- ※2017年2月15日現在、 2月末権利確定銘柄よりスクリーニング
- ※野村インベスターリレーションズデータ・Astra Managerデータより作成
- ※2017年2月15日現在、 2月末権利確定銘柄よりスクリーニング
- ※野村インベスターリレーションズデータ・Astra Managerデータより作成
- ※2017年2月15日現在、 2月末権利確定銘柄よりスクリーニング
- ※時価総額500億円以上かつ予想配当利回り2%以上の銘柄
- ※野村インベスターリレーションズデータ・Astra Managerデータより作成
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藤井明代
auカブコム証券 投資情報室 投資アナリスト
東京都出身。大手ネット金融グループを経て、2013年10月よりauカブコム証券。
売買手法や相場解説などを初心者の方にも分かりやすく解説することに定評あり。株主優待にも詳しく、マルチスキルを持つメンバーとして人気上昇中。
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