投資情報室
【テクニカル】旬なテーマを深堀り♪膠着相場で三角保ち合い形成、もみ合い相場で有効なテクニカルは?
2017年3月16日(木)
投資情報室 藤井明代
市場関係者の重要イベントとして注目されたFOMCとオランダの議会選挙を通過した16日、日経平均は12円高の1万9590円で取引を終えました。為替市場で急速に円高が進行し、軟調な寄付きとなるも後場にはプラスに切り替えして底堅い動きをみせました。
関心度が高まったFOMCでは、市場予想通りFF金利を0.25%引き上げました。しかし、今後の利上げペースについては、従来通り17年・18年ともに年3回に据え置き。事前予想では堅調な米経済統計を背景に、年4回の利上げを織り込む動きがみられていたことから、ハト派的な結果発表を受けて急速にドル売りが加速。10日に115円台半ばまでドル高が進行していたドル円は、16日に112円台まで売られ、チャート上でも大きな陰線をつけました。一方、緩やかな利上げペースの示唆は米国株式市場に安心感を与え、主要指数はそろって上昇し、日本株の好材料となりました。また、欧州政治リスクの一つとして懸念されていたオランダ議会選でも与党の自由民主党が政権を維持する見通しが伝わり、警戒感が和らいだことも日経平均を下支えする格好となりました。
重要イベントを通過した16日までの日経平均を日足チャートで確認すると、今年に入り上値はほぼ一定で、下値が切り上がる三角保ち合いが形成されています(図1)。
- ※kazuステーション、2017年3月16日終値データ
このような上昇型の三角形は、売りの勢力が一定ながら下値では買い方の勢いが徐々に強くなっていることを示し、テクニカル上では強気形状のフォーメーションと読み取れます。また、上昇トレンドの一時休止状態のときに現れることが多い形状といわれます。
今回の場合、図の数字で示した反転ポイントをすでに8つこなし、強いエネルギーを貯めこんでいる状態です。そのため、何らかのきっかけでサポートラインに達せずに上値抵抗線をブレイクアウトする可能性を秘めています。しかし、2つの線が交差するまでは後1ヶ月以上の余地があるため、もうしばらく三角保ち合いが継続する可能性があります。重要イベントであるFOMC・オランダ議会選挙を通過してもブレイクアウト出来ずに保ち合いを続けていることから、次は織り込みされていないサプライズ的なきっかけが必要となりそうです。
4月までのイベントは、G20財務相・中央銀行総裁会議、仏大統領選、日銀金融政策決定会合と展望レポート公表のほか、米トランプ政権による具体的政策の示唆などが挙げられます。その他、米国を中心とする経済指標の発表も重要視されそうです。いずれのイベントにおいてもチャート上では上振れのきっかけを探りながら、三角保ち合いの中で膠着相場が続く可能性が高そうです。
このようなもみ合い相場では、オシレータ系のテクニカルが有効といわれます。オシレータ系の指標は、買われすぎ、売られすぎなどを示すテクニカルで、代表的なものにストキャスティクスやRSIなどがあります。図1の下部に示すストキャスティクスは、ローソク足を見るよりも相場の波を捉えやすい特徴がでていることが分かります。70や80を超える高水準エリアや30や20の低水準エリアに達したら、逆方向の動きに注意というシグナルを一見して捉えることができます。
三角保ち合いが頂点に達するまでもみ合い状態が継続すると仮定すれば、しばらくはストキャスティクスなどのオシレータ系指標を利用した売買が有効となりそうです。
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藤井明代
auカブコム証券 投資情報室 投資アナリスト
東京都出身。大手ネット金融グループを経て、2013年10月よりauカブコム証券。
売買手法や相場解説などを初心者の方にも分かりやすく解説することに定評あり。株主優待にも詳しく、マルチスキルを持つメンバーとして人気上昇中。
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