投資情報室

旬なテーマを深堀り♪日本製「化粧品」の躍進続く、市場を賑わす新商品が発売開始

2017年6月22日(木)
投資情報室 藤井明代

資生堂がシワ改善化粧品を投入、株式市場を賑わす

化粧品業界ではシワを改善する商品の投入が相次ぎ、株式市場を賑わせています。
6月21日、資生堂(4911)は「エリクシール」ブランドから、シワを改善する薬用クリーム「リンクルクリーム」を発売しました。これは、純粋レチノールによるシワ改善の新効能の承認を日本で初めて取得した研究成果を応用した商品です。

資生堂がこの効能効果の承認を厚生労働省から受けたと発表した2月28日の翌営業日、同社の株は窓を空けて大きく上昇しました。一方、1月にシワ改善効果のあるクリーム「リンクルショット」を販売開始していたポーラ・オルビスHD(4927)は一時10%の急落。ポーラの「リンクルショット」は発売から1ヶ月で25万個、約36億円の販売実績を上げており、競合激化が懸念された格好です。

資生堂は「リンクルクリーム」を今年だけで100万個販売する目標を掲げており、販売価格5,800円換算で50億円以上の売上げが見込まれます。この新商品の売れ行き次第では、同社や競合他社の株価に再び影響を及ぼすことも想定され、しばらくは各社のリリースから目が離せない状況が続きそうです。

日本の化粧品市場は躍進が続く、ポイントは中国訪日客

日本の化粧品市場全体の動向では、2016年の日本の化粧品輸出額が初めて輸入額を上回ったことが明らかになりました。2016年は前年比28.8%と大幅に増加し、2013年比でほぼ倍増となっています。
また、日本百貨店協会が公表する全国百貨店売上高の2017年5月統計では、化粧品は26ヶ月連続でプラスを維持し、今年に入り5ヶ月連続で前年比2桁増と好調に推移しています。

好調の背景には、訪日客の増加が大きな好影響を与えていることが挙げられます。
6月21日にJNTOが発表した5月の訪日外客数では、2017年5月までの累計が1141.1万人となり、最も早いペースで1000万人を突破しました(グラフ1)。地域別ではアジア地域の訪日客が多い中、今年累計で2番目に多い中国訪日客の約8割が化粧品・香水を購入しています。また、その単価は平均の1.7倍の4万503円で高い購入額となっています(※)

  • 出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査 (国籍・地域別 費目別購入率および購入者単価/平成29年1-3月期)」

【グラフ1:訪日外客数の推移(月別)】

グラフ1:訪日外客数の推移(月別)

  • 出典:「日本政府観光局(JNTO)」、観光庁「訪日外国人消費動向調査」
  • ※1平成29年1-3月期データ

そのため化粧品メーカーなどにおいては、中国訪日客の需要をいかに取り込むかが重要となってきます。また、中国ではECが急速に拡大しているため、越境EC・商品配送への対応に加え、広告や宣伝強化も売上を左右するポイントになりそうです。

下記にご紹介する関連銘柄においても、中国を中心に海外展開を強化する企業が散見されます。
花王(4452)や資生堂は早くから中国向け越境ECへの取り組みを開始しているほか、資生堂は今年に入り中国展開の「エリクシール」ブランドで日本製を全面に出す刷新を行い、需要の取り込みを本格化しています。
シーズ・HD(4924)は海外でのブランドの認知度を高めるため、昨年7月に米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)グループ2社と資本業務提携と締結。中国本土や香港、台湾のインフルエンサーやメディア向けに体験ツアーを開催するほか、中国EC大手のT-MALL国際のオープニングイベントを開催するなどし、積極的に海外展開を進めています。
その他の企業も海外展開では中国に重きを置く銘柄が多く、今後も中国向けビジネスの動向が化粧品メーカーをはじめとする関連銘柄へ大きな影響を与えていきそうです。

【主な化粧品関連銘柄】
コード 銘柄名 市場 PER(倍) PBR(倍) 時価総額
(百万円)
売上高
(百万円)
売上高
営業利益率(%)
最低
売買代金
4452 花王 1部 24.4 5.00 3,392,235 1,457,610 12.7 685,300円
4911 資生堂 1部 62.7 4.13 1,634,400 850,306 4.3 408,600円
4922 コーセー 1部 31.0 4.51 785,885 266,762 14.7 1,297,000円
4927 ポーラ・オルビスホールディングス 1部 31.4 3.65 701,157 218,482 12.3 306,000円
4928 ノエビアホールディングス 1部 35.1 3.77 203,847 51,180 15.1 575,000円
4924 シーズ・ホールディングス 1部 32.8 6.81 201,593 39,452 20.8 414,500円
4921 ファンケル 1部 33.1 1.85 137,197 96,305 2.3 210,500円
6630 ヤーマン 1部 22.9 6.00 54,615 19,969 17.5 936,000円
4925 ハーバー研究所 JQS 11.1 1.71 14,560 16,135 11.0 370,000円
  • 2017年6月21日現在、時価総額順
  • Astra Managerを基にカブドットコム証券作成
  • 株価データは連結優先ベース
  • ヤーマン(6630)は2017年11月1日付で1対10の株式分割を予定




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藤井明代

藤井明代

auカブコム証券 投資情報室 投資アナリスト

東京都出身。大手ネット金融グループを経て、2013年10月よりauカブコム証券。
売買手法や相場解説などを初心者の方にも分かりやすく解説することに定評あり。株主優待にも詳しく、マルチスキルを持つメンバーとして人気上昇中。

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