「ヤクルト1000」の大ヒットで、乳酸菌への関心が高まっています。
コロナ禍で健康に関心を持つ消費者が増加しているほか、睡眠、免疫など現代のストレスなどの増加なども要因とみられます。
乳酸菌は小腸に住み、腸内環境を整えてくれる“善玉菌”です。
なお、ビフィズス菌は大腸に住む善玉菌で、いずれも腸内環境を整えてくれます。
特に乳酸菌はこの20年間程度で内臓脂肪を減らしたり、花粉などの不快感を緩和する機能などが発見されています。
市場は右肩上がりで拡大し、アナリストによれば現在の市場規模は約8,000億円に達しているそうです。

ヤクルトの乳酸菌飲料「ヤクルト1000」が高い単価(希望小売価格130円)にもかかわらず、品切れになるほどの人気となっています。
「ヤクルト1000」には生きて腸内まで到達する「乳酸菌 シロタ株」がヤクルト史上最高密度となる、100mlに1000億個入った、乳製品乳酸菌飲料のこと。
「睡眠の質を高める(眠りの深さやすっきりとした目覚め)」、「ストレス緩和」効果があることをうたった「機能性表示食品」である。ヤクルト1000と容量違いで量販店向けに販売する「Y1000」も品薄が続いているようです。

乳酸菌飲料、ヨーグルトはほかにもあります。そこで今回は、機能性に特徴のある乳酸菌関連企業をピックアップしてみました。

乳酸菌関連6銘柄

ヤクルト(2267)

報道では「Y1000」の生産能力を倍増すると伝わっている。
今年7月にも国内工場に1ラインを新設し、現在の1日平均20万本から40万本程度とする見通しという。
今期にはさらに117億円の設備投資を計画しており、大半が「ヤクルト1000」関連に充当するとみられている。

少し前には「ヤクルト400」が花粉対策に効果があると話題になったこともある。
「シロタ株」とは1930年に、のちのヤクルト創業者となる医学博士代田稔によって発見・強化培養された乳酸菌の一種。
代田博士は病気になる前の予防が大切ということを説き、日本の予防医学のパイオニアとされる。シロタ株は胃液や胆汁に負けず、生きたまま腸内に到達する。
腸内で人に良い働きをするビフィズス菌(整腸作用、病原菌の感染抑制効果がある善玉菌)を増加させ、大腸菌群や有害物質を減少させる効果がある。
便秘・軟便などお腹の調子を整える。睡眠、女性ホルモンの働き支援などの効果も認められている。

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キリンHD(2503)

プラズマ乳酸菌「iMUSE(イミューズ)」に展開。プラズマ乳酸菌は理化学研究所が運営する菌株バンクで発見された。
免疫細胞「pDC(プラズマサイイド)」にちなんで命名。
キリンや傘下の協和発酵バイオ、小岩井乳業などと大学などが開発。
世界で初めて免疫の司令塔である「pDC」を活性化する乳酸菌。
一般的な乳酸菌は一部の免疫細胞のみを活性化するが、プラズマ乳酸菌は司令塔を直接活性化することで、免疫細胞全体が活性化され、外敵に対する防御システムが機能するとしている。
機能性表示食品。キリンの医薬事業、ビール酵母などの微生物の研究の末にプラズマ乳酸菌を発見したという。

iMUSEブランドで、ヨーグルト、飲料、サプリメントなどを商品化している。報道によれば、キリンはプラズマ乳酸菌入り飲料を7月から約7割の増産に進む。カンロ(2216)ののど飴で、ファンケル(4921)とはサプリメントでコラボするなど他社への技術供与も行っている。

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カゴメ(2811)

「腸内環境を改善する」、「肌の潤いを守る」という機能性表示食品の植物性乳酸菌飲料「ラブレ」を展開している。
乳酸菌には主に乳製品などをつくる動物性乳酸菌と、野菜や豆などを発酵させる植物性乳酸菌がある。
動物性乳酸菌は豊富な栄養で成長する傾向があるが、植物性乳酸菌は塩や酸などの過酷な環境で育っている。過酷な環境での生育が腸まで生きて届く力になっているという。

生きて腸内に届き、腸内環境を整える。ラブレ菌の摂取により、肌の潤い指標である「角質水分量」が維持・改善することが確認されている。

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明治HD(2269)

傘下の明治乳業が健康維持のために医師の95.3%が奨める「LG21乳酸菌」をヨーグルトなどで展開。
乳酸菌は健康によいとの漠然とした特徴だったが、LG21乳酸菌は「胃で生き残る力が強く、胃での増殖性が高い」、胃で働く乳酸菌という個性的な特徴を有している。
尿酸値の上昇を抑える「PA―3」乳酸菌を含んだヨーグルト(トクホ)も手掛ける。

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森永乳業(2264)

森永乳業が保有する数千株の中から選抜した乳酸菌「シールド乳酸菌」を「健康をサポートする」乳酸菌として展開。
殺菌菌体などでどんな食品にも添加でき、手軽にメニューに付加価値を付けることが出来るという。飲むヨーグルトやサプリメントなどを商品化。

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雪印メグミルク(2270)

同社独自の乳酸菌である「ガセリ菌SP株」を使ったヨーグルトなどに展開している。
善玉菌で、主に小腸に存在し、内臓脂肪を減らすのを助ける機能が科学的に実証されている。

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和島英樹

和島英樹

経済ジャーナリスト。

日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年ラジオNIKKEIに入社。
東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。
2020年6月に独立。企業トップへの取材は1,000社以上。
ラジオNIKKEI担当番組に「マーケット・プレス」など。
四季報オンライン、週刊エコノミストなどへ寄稿多数。
国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
日本テクニカルアナリスト協会評議委員。

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