2022年の相場見通し

謹賀新年

2022年の相場見通し

当社投資情報室より、2022年のマーケットついてご案内いたします。 新年のお取引に是非お役立てください。

  • チーフストラテジスト 河合達憲
  • マーケットアナリスト 山田勉
  • ファンドアナリスト 川上雅人
  • 投資アナリスト 藤井明代

2022年の相場見通し特集動画

チーフストラテジスト 河合達憲

予想レンジ

河合達憲

auカブコム証券 投資情報室・室長 チーフストラテジスト
近畿大学大学院・博士前期課程修了。日本で数少ない証券専攻修士号のマスター称号を有する。中堅証券調査部にて調査・情報畑一筋で30数年来、企業調査や投資戦略、投資手法などのストラテジー構築に従事。ファンダメンタルとテクニカルを融合した投資分析を実践しており、各種マネー誌や月刊宝島、夕刊フジ等の銘柄推奨コンペティションでの優勝など各賞を多数受賞した実績により推奨銘柄の的中率の高さは実証済み。マクロ分析から個別銘柄までトップダウンアプローチでの分析力も定評。近著『9割の人が株で勝てない本当の理由』(扶桑社)、最新刊『株の五輪書』(マガジンハウス)など著書多数。毎週火曜夜のauカブコム証券・ストラテジーセミナーが大人気を博し、TV・ラジオにも多数のレギュラー出演する傍ら、2013年度から2021年度まで、大阪国際大学、及び大阪国際大学短期大学部にて大学講師としても登壇。

ネットセミナー「河合達憲の当面のストラテジー」を2009年3月より毎週火曜日夜ネット配信、14年目に突入。開催回数は612回を超え、今なお継続中。Youtubeのauカブコム証券公式チャンネルで放映中。

『寅は千里を走る(2022年)の次が重要!ウサギ(2023年)は跳ねますよ!』
~つまり干支ではここ3年では2022年も2023年も強いということ・・!?

(結論)
①コロナ禍丸2年が経過し、先進国で数少ないwithコロナを体現した日本への信認が高まる原動力へ
②米国長期金利に良くも悪くも振り回される1年に。FRB頼みの日本株市場か
③日本株は企業業績回復をベースに、世界景気へキャッチアップ。但しコストプッシュインフレがかなりのノイズ
④日経平均は、年間高安幅は平均値に回帰し、値幅6000円・率25%の振幅が観測され、上下シュートも加えると29000円-35000円のレンジ想定
⑤バイデン政権と米中問題がリスク要因として介在。さらにロシア・中東・北朝鮮と地政学的リスクは常につきまとう

寅は走るわ、ウサギは跳ねるわ、辰巳の天井(25年万博)まで突っ走りましょう

まずは、お約束の干支の相場格言から。
『辰・巳(たつ み)天井、午(うま)しり下がり、未(ひつじ)辛抱、申・酉(さる とり)騒ぐ、戌(いぬ)は笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁栄、丑(うし)はつまづき、寅(とら)千里を走り、卯(うさぎ)は跳ねる』

さて、今回のコロナ禍の起点となる2020年1月30日WHOによる緊急事態宣言発出が、それまでの全ての生活を一変させたことはいうまでもない。子(ね)は繁栄(2020年)は、新型コロナでニューノーマル社会へDX化の波が一気に押し寄せた。我々はライフスタイルの変更を余儀なくされた。また、その年のエボックであったオリンピックは2021年に順延され、異例に次ぐ異例がいくつも存在した。

干支では2021年はつまづいたことになるが、それは2020年3月のコロナショックがつまづきだったのではないか?オリンピックが1年延期となったからだ。まぁややこしいからこの話しはここまで。

昨年の、丑(うし)はつまづき(2021年)は、前年の順延オリンピック開催が無観客開催でもやはり多くの感動を与えてくれた。緊急事態宣言は21年年初から発出され、一旦解除となったものの、再度の発出で延長に次ぐ延長となった。最終的に解除となったのは10月だ。とはいえ、東京都は11月まで自粛体制の解除は緩めなかった。長引いた自粛が、自粛疲れから自粛慣れに変わり、いざ解除となってもなかなか夜の街の活況は戻らなかったことは、企業も誤算であったかもしれない。
しかし、そのようなコロナ5波といわれた事態のなかでも、2021年の企業業績はしっかりと回復し、景気回復も決め手には欠けるものの、じりじりと平常へと回復していった。

さて、寅(とら)千里を走り(2022年)は、2年間に亘るコロナ禍もwithコロナの体制の元、ブースター接種も前倒し予定となり、2021年末からにわかに脅威となったオミクロン株拡大への備えを強めている模様だ。いよいよ長引いたコロナ禍からの回復が鮮明となる年として期待がもてよう。

日本株、ここ32年で学んだこと・・・!?

特に、株式市場にとって重要なことは、企業業績に再び着目することではないか。2021年度の企業業績は3月末の着地で2ケタの増益率が想定される。19年度・20年度は2期連続の減益であった反動も手伝って、21年度の業績の変化率は堅調な数字をたたき出すポテンシャルが高い。
現時点では、日経平均のEPS(一株当り利益)は2090円を基準として算出すると、アンダーの13倍で27200円-ミッドの15倍では31400円なので、このレンジで年初はかけ抜けるだろう。
1月下旬から始まる3月期企業の第3Q決算は、最後の1-3月の着地が堅調なことを示すには十分な増益率となることが想定され、第3Qが終わる2月15日以降は、いよいよ来年度である22年度に着目点が移行する。
上述通り、22年度は2ケタの増益を予想した場合、日経平均のEPSは2300円となり、同じくアンダー13倍で29900円-ミッド15倍で34500円がレンジとして想定できる。つまり、21年9月の31年ぶりの戻り高値30750円は3月までの年度内から期初段階の決算の5月下旬辺りには、32年ぶりの戻り高値水準ということが想定できる可能性が高いだろう。(しびれる!)

日経平均の年間高安幅は平均値程度での確率論で、値幅6000円・率25%のレンジの振幅が観測され、上下のシュートを加えて価格に置き換えると、29000円-35000円のレンジが想定される。
上値を取りに動く過程と下値を叩く背景には、バイデン政権が中間選挙で苦戦や、米中のぎくしゃく感は続き、FRBのテーパリング前倒しが6月予定から3月となり後半は米国利上げ3回が金融構造の中での不安定要素。現岸田政権の腕の見せ所は何度も訪れるだろう。政権への信認が加速する局面では、外国人投資家の参戦も交えて、上値形成が成されよう。

~干支の相場格言と相場状況
辰・巳(たつ み)天井 (2012年・2013年) →アベノミクススタート
午(うま)しり下がり (2014年) →年末高も10月まで値幅2500円とこう着
未(ひつじ)辛抱 (2015年) →6月年央高、8・9月急落
申・酉(さる とり)騒ぐ(2016年・2017年) →2年に亘り値幅8500円、10月歴史的16連騰
戌(いぬ)は笑い (2018年) →まさかの12月急落で年末安、年末笑えない下落
亥(い)固まる (2019年)  →オリンピック前年でこう着、10月消費増税導入も年末高
子(ね)は繁栄 (2020年)   →新型コロナでニューノーマル社会へDX化の波
丑(うし)はつまづき (2021年) →順延オリンピック開催と緊急事態宣言と6波への警戒
寅(とら)千里を走り (2022年) →不況からの回復?
卯(うさぎ)は跳ねる (2023年) →回復基調鮮明?万博景気に向かう?
辰・巳(たつ み)天井 (2024年・2025年) →大阪万博(2025年)でピーク?

景気は誰に聞いてもいつでも悪い!?事実検証が重要

事実関係をみるべし!相場、景気、物価、事実検証が最も重要。21年の日経平均は31年ぶりの高値更新となったのだ。これは重要な事実である。

景気いかがですか?と尋ねて、儲かって儲かってしようがないという方はまぁ少数だろう。特に奥ゆかしい日本人気質としては、たとえ儲かっていても儲かっていると公言する方は、税務署に対しても凄いチャレンジャーだし、鼻持ちならない高言を吐く人物と嫌われ者になることを恐れない人だ。勿論、キチンと税金払っても余りあるくらい儲かっている方であったり、嫌われても儲かっているものはしようがないと開き直る方ならば、その限りではないが、兎も角、基本、人は「いつでも景気は悪い」のである。

街角アンケートなどは上述の「気質」を完全に無視した状態から始めるので、ほとんどあてにならないし、その街角アンケートをことさらのように誇張するメディアも景気の真贋の参考にはならず、景気は見極められないだろう。
しかし、賢明な株式投資家諸兄は、常に事実と向き合っているので、そのようなムードや読めない空気に惑わされないことを信じたい。
日経平均は戻り高値を31年ぶりに更新した!これは歴然とした事実であり、この事実ありきで分析を始めねばならない。

年間の動きを脳内に入れておくこと!?

株式投資をいつから始めた?それによって資産形成スタンスは異なる

ここ30数年来、株式市場と向き合ってきて、株式長者誕生の大きな地殻変動は3回ほどあったのではないか。
1回目は2000年のITバブルと呼ばれる期間だ。結論はソフトバンクというIT財閥が勃興した。日経平均は、1998年10月に底を打ち2000年4月の高値まで約62%上昇し、高値形成後、約3年に亘る長く深い調整局面となり、一連のIT企業は壊滅したかと思えたが、しっかりとソフトバンクは帝国を築いている。
次の2回目は、2007年辺りのIT系社長族の隆盛だ。2000年のITバブル期には玉石混交だったが、IT事業にしっかりと根を張った企業達が飛躍の時期を迎え、気鋭のIT系企業が次々と上場し、上場成金=IT社長など揶揄された時期だ。
そして3回目の変動は、コロナ禍前のここ4年前辺りの2017年辺りからの株式長者の隆盛ではないか。3回目の特徴はSNSなどを情報ツールとして駆使していることが前の2回とは異なる。考えてみると、Twitterが流行り出したのが2012年辺りだから情報ツールというよりも通信手段としてSNSを活用するのは当たり前といえば当たり前だが。

振り返ると、ここ30数年で、株式市場をテコとして長者が勃興した時期は3回存在し、其々株式市場への取り組み方は異なる。一回目はITバブルによる株高を活用した株式交換等による資本の組み替えによる大成功例と大失敗例。二回目はIT系企業の上場による資金調達を活用した成功例、つまり発行企業としての株式市場の活用の成功例だろう。そして、三回目は投資家として直接的に株式市場でのトレードでキャピタルゲインによる株式長者の誕生だろう。

この三回めの例は、80年代バブルの際も株式長者が続々と誕生したのでさほど珍しいことではない。株式市場が上昇する過程では勝ち組の長者は必ず誕生する。上述のように90年以降の30年間においても3回の長者誕生の機会があり、どれも取り組み方は異なるが株式市場の生み出した産物であるという事が、株式投資のロマンといえるのではないか。

なぜ、年始にこのような過去分析をご報告するかというと、3回目の株式長者の誕生に着目して頂きたいからだ。
日経平均は、2012年の8000円台からコロナ禍前の2019年10月の24270円まで約3倍の上昇を示した。一般的な指数と個別銘柄の相関性をボラティリティ(変化率)の平均値に引き直すと、個別銘柄は株価指数の約2倍の変動率で動くということが割り出されている。これを当てはめると、日経平均という225社の単純平均から構成される株価指数が3倍になるといことは、個別銘柄は約6倍以上になっているのが普通であるということだ。
つまり、個別銘柄での株式投資を始めた時期が2012年であったとすれば、わずか9年ほどで3000万円の元手の場合ならば、1億8000万円くらいになっていて普通だということだ。あくまでも「普通」であり、一般的な投資家より投資について熱心に探究して株式長者となった投資家は「普通」を超えて、小型株ならば10倍や20倍に資産を増殖させることに成功するだろう。
「普通」に投資してBuy&Holdしていれば6倍高が普通な時期なので、それ以上のパフォーマンスをたたき出したとしても、異常でも特殊でもないということだ。

2012年といわずとも、2016年から株式投資を始めていたらどうだっただろうか。日経平均は2016年は約15000円台である。昨年2021年に日経平均は30750円の高値を示した。約2倍高である。先程の例に当てはめると個別銘柄なら約4倍~5倍。3000万円は約1億2000万円以上になっていたことになる。
つまり、2012年から始めても2016年から始めても3000万円の投資資金の投資家は、億トレーダーにはなり得ていたことを表している。

しかし、これはすでに2012年から9年間が経過した今だからいえることで、今から投資する方は、どういうスタンスが良いのかということを探求せねばならない。その探求のナビゲートにお役に立てれば幸いです。答えは、“いつも今年にある”。
そして、先述のように2012年も2016年も過去の話しであり、いつから株式投資を始めたらよいのかという問いにも答えておきたい。

問:株式投資はいつから始めれば良いですか?
答:証券会社の人にいつ株を始めれば良いかと聞くことは、散髪屋に入って髪の毛切った方が良いですか?と聞くことと同じです、散髪屋さんは何と答えるでしょう? 『今です!』

2022年は米FRB金融政策に振り回される年!?

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(末筆ながら)
20歳代前半の学部のゼミ生時代から師と仰ぐ教授にお仕えしてきた。北新地では有名な「カブの先生」だ。
ご縁のお導きで、師と巡り合わせて頂き、「証券諭」に出会った大学2年生のカワイタツノリ。学部のゼミ生の3年生の頃、株式投資で日計りでいくら儲けたいくら損したと喜々としている小職に、師はピシャリと仰せになった。
「カワイ君、株式投資というものは、金輪際1株たりとも売りも買いもしないという最後の日まで、それまでの勝ちも負けも全ては一時的なことだ。勝った負けたと騒ぐべからず。最後の最後に、株式投資でどれだけの資産を築いたかで勝ちか負けかが決まる」と、厳しく諭旨されたことを今でも鮮明に憶えている。~それでも、凡人の小職は、株で勝ったらら嬉しいし自慢したいし、負けたら悔しいし隠したい。(笑)

その後、師のゼミ生として学部を卒業し、教授の薦めで証券専攻の博士前期課程の大学院生として、文字通り師の鞄持ちとして、連日連夜、研究室と北新地のお供について回った。
17歳の夏からハマっていたサーフィンと、21歳の頃に覚えた株式投資にどっぷり漬っていた毎日だった。平日は大学と北浜と北新地、土日は海でサーフィンという生活だった。株式投資をしていたおかげでアルバイトはしたことがないし、長期のサーフトリップで海外渡航も年中できた。(何という不埒な院生だ!)
師からお下がりで頂戴したドクターバックを補修して、いつも重たい何冊もの証券の書籍をごっそりを持ち歩いていた日々だ。楽しかったし、投資の研究へのベクトルは今でも変わっていない。サーフィンはさすがに40歳代のある年の夏の終わりの台風シーズンを最後にウェットスーツに手を通すことはなくなったが、乗り継いだサーフボードが10枚ほど家中に粗大ゴミ化している・・。(汗)

師と巡り合うご縁を頂けなかったら、証券専攻で大学院に行くことも無かっただろうし、証券会社の調査部で働くこともなかっただろう。この株式投資の道を進むことも無かったかもしれない。7年以上におよぶ鞄持ちの書生生活も今となっては素敵なセピア色だ。

その師も、昨2021年に93歳の天寿を全うされた。彼の地でこの小職の拙文をご笑覧頂けるのだろうか。。。合掌。

(執筆・文責 河合達憲 拝)

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