2022年の相場見通し
当社投資情報室より、2022年のマーケットついてご案内いたします。 新年のお取引に是非お役立てください。
auカブコム証券 投資アナリスト
大手ネット金融会社を経て、2013年にカブドットコム証券(auカブコム証券)入社。前職在籍中は個人投資家として国内株式等の売買を経験し、株主優待に魅了される。個人投資家としての経験を活かし、株主優待や初心者向け情報発信を行う。
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2022年日本株見通しと連続増収増益銘柄ご紹介
あけましておめでとうございます
旧年中は格別のご高配を賜り、心より御礼を申し上げます
本年もauカブコム証券、そして投資情報室をよろしくお願いいたします
好調な企業業績を期待するも引き続き新型コロナウイルス・米金融政策の行方を注視
2021年の日本株式市場は、新型コロナウイルスや米国の金融政策の行方等に左右されたものの、好調な企業業績を背景に底堅く推移したのではないかと考えています。日経平均株価は年始の2万7258円から9月14日には3万670円と約31年ぶりの高値を更新する場面がありました。2021年12月17日現在、2021年の日経平均年足は陽線となり、2019年から3年連続陽線を引いています。連続陽線の出現は先高観が強いことを示唆します。しかし、ローソク足としては上影(上に伸びる線)が長くなっており、上昇エネルギーがやや衰えている可能性がありそうです。この線がローソク足の実体部分(始値と終値で形成される部分)よりも長くなって2021年の取引を終えると、「上影陽線」となり2022年以降に大きな上昇を期待するにはやや注意が必要になると考えられます。
■2021年日経平均株価チャート(年足)
2021年の日経平均株価の日足チャートを見ると、2万7000円~3万1000円の間でのレンジ相場の様相となっています。米国の金利上昇に伴う米国株安や新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」の出現等により売りが入る場面もありましたが、このレンジ内で上昇と下落を繰り返してきました。2022年においても、経済活動の再開や好調な企業業績が相場の上昇を支えながらも、2021年と同様にこのような外部環境の影響を受けることを予想しています。2022年前半は、外部環境による下落局面では企業業績が下支えとなり反発が見られたところが買い場になる可能性があるとみています。
新型コロナウイルスに関しては、ベータ型からデルタ型へ流行が移り変わったように、今後もオミクロン型へ置き換わる可能性に加え、さらなる変異型の脅威と戦っていくことがありうると考えています。日本を含め世界的にワクチン接種が進んでいることから、経済活動の再開が進む一方でワクチン効果の減衰も含めた不透明な脅威にまだしばらくは備える必要性を感じています。
次に米国の金融政策です。FRB(米連邦準備理事会)は2021年12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で量的緩和の縮小(テーパリング)を段階的に行い、2022年3月には量的緩和を終了する想定を示しました。そして、2022年は計3回の政策金利の引き上げを見込んでいます。株式市場はこの結果やパウエル議長の記者会見をポジティブに捉え、直後の日米主要株価指数は上昇しました。これにより、年内の大きなイベントは無事通過したものの、次に焦点となるのはQT(量的引き締め)になると考えています。今後、QTの議論が進んでいることやその前倒しなどが示唆された場合には、警戒感が強まり、これまで早期利上げ観測の度に売りが入った時と同様にリスクオフの反応を起こす可能性があるとみています。
マーケットフレンドリーな金融政策正常化のプロセスを歩むことができるのか、これまで以上に米金融政策の行方を注視していきたいと考えます。
■2021年日経平均株価チャート(日足)
外部環境に左右されにくい!?長期投資向き「10年以上連続増収増益銘柄」
上述したような外部環境に、個人投資家がいち早く反応し国内株式を売買するには常にマーケットを注視し、最新の情報収集が必要となると考えます。そこで、今回は外部環境に左右されにくいと予想される連続増収増益企業をご紹介いたします。企業の「売上高」そして本業での利益を示す「営業利益」に注目し、過去10期以上連続で増収増益を達成し、かつ今期も増収増益を予想する企業をスクリーニング。過去10年以上に渡り売上げを伸ばし、本業で稼いだ実績を持つ企業は過去の様々な悪材料にも立ち向かいながら、着実に成長を遂げてきた企業群とだと考えています。投資のご参考になれば幸いです。
【スクリーニング条件】
✓ 過去10期以上連続で増収
✓ 過去10期以上連続で営業増益
✓ 今期増収・営業増益(会社予想)
✓ 時価総額500億円以上
■10期以上連続増収増益銘柄(今期予想売上高伸び率順)
コード | 銘柄名 | 市場 | 決算期日 | 業種 | 予想配当利回り(%) | 一株配当金 予想 |
株価 | 売上高 伸び率予想 (%) |
営業利益伸び率予想 (%) |
時価総額 (億円) |
純利益 10期以上 |
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3064 | MonotaRO | 1部 | 2021/12/31 | 小売業 | 0.52 | 11.5 | 2,183 | 23.4 | 25.9 | 10,943億円 | ★ |
9843 | ニトリHD | 1部 | 2022/2/20 | 小売業 | 0.75 | 140 | 18,445 | 21.9 | 4.5 | 21,109億円 | ★ |
3769 | GMOペイメントゲートウェイ | 1部 | 2022/9/30 | 情報・通信業 | 0.45 | 66 | 14,570 | 20.0 | 25.0 | 11,154億円 | |
8771 | イー・ギャランティ | 1部 | 2022/3/31 | その他金融業 | 0.86 | 22 | 2,551 | 18.2 | 20.5 | 1,190億円 | |
3085 | アークランドサービスHD | 1部 | 2021/12/31 | 小売業 | 1.28 | 30 | 2,333 | 13.9 | 4.7 | 772億円 | |
2175 | エス・エム・エス | 1部 | 2022/3/31 | サービス業 | (※1)0.21 | - | 4,485 | 11.4 | 13.4 | 3,908億円 | ★ |
7532 | パン・パシフィック・インターナショナルHD | 1部 | 2022/6/30 | 小売業 | 0.98 | 16.5 | 1,676 | 9.4 | 4.5 | 10,631億円 | ★ |
2127 | 日本M&AセンターHD | 1部 | 2022/3/31 | サービス業 | 0.57 | 18 | 3,105 | 7.9 | 9.7 | 10,450億円 | ★ |
4684 | オービック | 1部 | 2022/3/31 | 情報・通信業 | 0.85 | 185 | 21,650 | 7.3 | 8.2 | 21,563億円 | |
3626 | TIS | 1部 | 2022/3/31 | 情報・通信業 | 1.15 | 40 | 3,455 | 7.1 | 13.7 | 8,678億円 | |
2782 | セリア | JQS | 2022/3/31 | 小売業 | 2.15 | 70 | 3,255 | 6.1 | 3.4 | 2,469億円 | ★ |
9719 | SCSK | 1部 | 2022/3/31 | 情報・通信業 | 2.01 | 46.67 | 2,315 | 5.8 | 4.6 | 7,235億円 | |
3391 | ツルハHD | 1部 | 2022/5/15 | 小売業 | 1.40 | 167 | 11,900 | 4.0 | 5.8 | 5,883億円 | |
3349 | コスモス薬品 | 1部 | 2022/5/31 | 小売業 | 0.45 | 80 | 17,600 | 3.2 | 0.2 | 7,040億円 |
国内全上場銘柄の中から、10期以上連続で増収営業増益かつ今期も増収営業増益を予想する企業(時価総額500億円以上)は14銘柄ございました。この中で、さらに純利益も10期以上連続増収の実績を上げている企業は、MonotaRO(3064)、ニトリHD(9843)、エス・エム・エス(2175)、パン・パシフィック・インターナショナルHD(7532)、日本M&AセンターHD(2127)、セリア(2782)の6銘柄です。その中でも、ニトリHDは34期連続で増収・営業増益を遂げており、これまでの成長力とその持続性の高さが伺えます。
この6銘柄について日経平均株価との相対チャートで過去10年の株価を比較すると、エス・エム・エス(2175)、MonotaRO(3064)、日本M&AセンターHD(2127)が突出して高いパフォーマンスを上げており、その他3銘柄も日経平均株価よりも高パフォーマンスとなっています。
■過去10年日経平均株価との相対チャート(2011年11月30日=100)
一方で、2020年年末を100とする2021年のみの比較では、日経平均株価よりもアンダーパフォームしている銘柄も多く、短期間よりも長期投資に向いている銘柄であると想定することができます。企業業績に着目した長期投資向けの銘柄としてご参考となれば幸いです。
■2021年の日経平均株価との相対チャート(2020年12月30日=100)
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