上場するにも上場廃止になるにも条件がある

2020年末時点での上場株式数は3,756社、一方で、57社が上場廃止となっています。上場するには審査基準というものがあり、それをクリアしなければなりません。例えば、東証一部へ直接上場する場合、「株主数が800人以上」「時価総額が250億円以上」といった数字の面や、直近2年間に「有価証券報告書に虚偽の記載をしていないか」「財務諸表について所定の監査を受けているか」といった書類面などでかなりの手間暇・コストがかかっています。
また、上場廃止基準というものもあり、上場をキープするには廃止基準に当てはまらないようにしなくてはならず、これも多大な労力とコストがかかります。

＜上場廃止基準(一部・二部)項目＞
①株主数、②売買高、③流通株式数、④有価証券報告書等の提出遅延、⑤流通株式時価総額、⑥虚偽記載又は不適正意見等、⑦流通株式比率、⑧特設注意市場銘柄等、⑨時価総額、⑩上場契約違反等、⑪債務超過、⑫その他

上場廃止基準の細かい内容は記載を省略しますが、例えば「⑪債務超過」は1年以内に解消されなかった場合、「⑥虚偽記載又は不適正意見等」は有価証券報告書等に虚偽記載を行った場合などと細かい条件が設定されており、これらに当てはまってしまった場合は上場廃止となります。

倒産だけが理由とは限らない

では、昨年上場廃止となった57社はどの基準に当てはまったのでしょうか。上場廃止」＝「破綻」というイメージが大きいかもしれませんが、実際に破綻（破産手続き・民事再生手続き）した企業は2社のみです。それ以外の55社中1社が「時価総額（基準の10億円未満となった）」、残りの54社は「その他」の理由によるものでした。

＜2020年　上場廃止企業　一部抜粋＞

※日本取引所グループHPより抜粋

「その他」の内容は、主に親会社などグループ企業が傘下に収める（子会社化する）、もしくは他の企業との合併などで、その際株式はMBO(経営陣買収)という形で現在よりも高い値段で買い取ってもらえることがほとんどです。買い取りは強制ではないので持ち続けるという選択肢もありますが、上場廃止となると売却したいときに簡単に売れなくなるのであまりおすすめできません。
では、経営状態が悪化し、民事再生手続きに入った企業の場合はどうなるのでしょうか？ほとんどの場合100％減資となり、株価はどんどんゼロに近づき、ある一定の期間を経て売買はできなくなりますので、少しでも値段がついているうちに売却したほうがよいでしょう。
自分の持っている株式が上場廃止と聞くと焦るかもしれませんが、上場廃止になる理由は様々です。必ずしも経営状態が悪いことからすぐに上場廃止となるわけではありません。企業や取引所のHPを見て、内容をよく確認して行動することが大切です。

★カブコム社員からポイント★
もし、保有している株式が上場廃止になってしまった場合。対応に困ったら、上場廃止前だったら証券会社に、上場廃止後だったら株主名簿管理人（信託銀行であることがほとんど）に問い合わせしてみましょう。対応方法、手続き方法を教えてもらえますよ！

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