こんにちは。たけぞうです。元証券ディーラーで約30年間、証券会社に勤務していました。
ツイッターで私【たけぞう】のアカウント名を見かけたことがあるかもしれません。今回は信用取引についてお話します。

・皆さんは信用取引をされていますか?

信用取引にはどんなイメージがありますか?これから始めてみたいと思っていらっしゃる方、信用取引をご存知ない方など様々だと思いますが少しでも分かりやすく具体的にお話にしたいと思います。

・まずは信用取引とは何?

・・投資家が証券会社に対して一定の保証金(委託保証金)を担保として差入れることによって、売付けに必要な株式などや買付けに必要な資金を証券会社から借りて売買を行う取引です。

難しい(笑)

簡単に説明します。
・株の売買をする上で2通りの売買手法があります。
① 現物取引・・証券会社に預けた金額内での取引。仮に30万円証券会社の口座に入金すれば30万円までの株式が購入可能。売りから入る事が出来ない。

② 信用取引・・証券会社の口座に30万円あるが、証券会社の承諾を得た上で信用取引が可能であれば3.3倍の約100万円までの株式が購入可能に。
また、信用取引では株価が高いと判断した場合、売りから入る事も可能。

【信用取引のメリット】

● 少額の資金で大きな金額の取引ができます。・・手持ち資金の約3.3倍の金額まで株式が買えます。30万円の保証金で約100万円までの取引が可能です。

● 「売り」からはじめることができます。・・株価が下がると思えば、手元に株券が無い状態でも売りから入り収益を狙う事も出来ます。

● 1日に何度でも取引ができます。・・同じ銘柄であっても、1日に何度でも同じ保証金を使って売買ができます。2013年の法改正により、使い勝手が良くなり、利益も即時に保証金として使うことができます。
(注)私が入社した当時は、信用取引の同一日の回転売買が禁止され、売買手数料も片道2%弱でした。

【信用取引デメリット】

● リスクが大きくなります。・・自己資金以上に投資ができるということは、株価の変動により大きな損失を被る事もあります。

● コストが高くなる場合もあります。・・信用取引でも売買手数料は無料になりましたが、信用買いのときにかかる「金利」信用売りのときにかかる「貸株料」などがあります。
保有期間が長くなればコストの増加になります。

● 信用返済期日があります。・・制度信用取引の信用期日は約定日から6ヵ月目の応当日となります。

上記のことを踏まえ信用取引を上手く使って行きましょう。

【信用取引の例】

■ どうしても買いたいA株式。株価は9000円です。売買単位は現在100株に統一されており、購入金額は90万円必要となります。
しかし証券口座には30万円しかありません。現物取引は不可能ですが信用取引では3.3倍の取引が可能で購入が可能となります。思惑通りに株価が上昇し10000円で100株売却すると。

売却代金100万−購入代金90万円=差額10万円のプラスとなります。

この場合、証券口座が40万円になり、次に売買を行う際は約120万円の購入が可能になります。
※信用取引での売買は1日何度でも保証金を使い売買が可能であり、収益チャンス拡大が狙えます。しかし、予想に反する動きをした際は損失も大きくなるリスクがあります。

逆に思惑が外れ6000円で100株売却した場合。

売却金額60万−購入金額90万=差額は30万円のマイナスとなります。証券口座の30万円がゼロになります。
※金利・貸株料などの諸経費は考慮しておりません。

【実践例】

毎朝の新聞記事からその日に値動きが良さそうな銘柄を抽出する。

令和元年12月25日(水)日刊工業新聞参照
● オリックス環境、太陽光パネル廃棄で全国業者と協力。
この記事内にエヌ・ピー・シーは廃棄パネルをガラスと樹脂に分離する装置を開発した。ガラスは素材として再利用できる。
とあった。そこでエヌ・ピー・シー株(6255)の購入を決める。【証券口座30万円と仮定】

前日終値 438円。で信用取引口座を使用し90万円分購入検討。

① 440円で購入×2000株=88万円分約定 9時
② 思惑通り上昇 465円で売却×2000株=93万円 9時16分
売却代金93万−購入代金88万円=差額5万円 プラス
※金利・貸株料などの諸経費は考慮しておりません。

実践例画面

2013年の法改正以降は、信用取引は回転売買で商い可能になっている。チャンスを見計らい再度購入。
③ 485円で購入×2000株=97万円分約定 10時04分
④ 思惑通り上昇 500円で売却×2000株=100万円 10時13分
売却代金100万円−購入代金97万円=差額3万円 プラス
※金利・貸株料などの諸経費は考慮しておりません。

実践例画面

1、2度目の取引の差額で収益分の8万円は証券口座に即座に反映されており、38万の保証金の3,3倍まで売買可能に。
お昼休憩を挟み再度チャンスと捉え、購入。
⑤ 485円で購入×2000株=97万円分約定 12時45分
⑥ 伸びが悪いと感じ 475円で売却×2000株95万円 13時10分
売却代金95万円−購入代金97万円=差額2万円 マイナス
※金利・貸株料などの諸経費は考慮しておりません。

私は約30年前に証券会社に入社しました。当時はNTT上場を契機に株式ブームが起こり、
また地価高騰などを受け不動産価格も急騰しました。東京証券取引所に上場する企業の株価1000円未満が数社になった事が話題になりました。当時の売買単位は1000株のものが多く、最低購入価格は100万超でした。
また当時は委託手数料が高く、信用取引も保証金の範囲での取引が1回転だった為、融通が効きませんでした。
現在は信用取引の委託手数料がゼロとなり、信用取引の保証金の範囲内であれば今は回転売買も可能です。
ネット証券台頭により個人投資家の環境は恵まれていると思います。上手に信用取引を活用する事で資産形成をしていきましょう。

今回は簡単な信用取引の実践法を書かせて頂きました。次回は信用売りや信用残高の見方を説明したいと思います。

たけぞう氏

たけぞう氏 プロフィール


たけぞう
1988年、中堅証券会社に入社、4年間の“場立ち"を経て、20年間以上、証券ディーラーとして活躍。多いときには約10億円の資金運用を託され、過呼吸になるような重圧と戦いながら約50億円の収益を上げる。2000年、光通信〈9435〉の20日連続ストップ安の記録的下落を直前で回避、2018年まで約30年間勤務したのち、独立して個人投資家に。 日常の生活実感から銘柄を絞り込む「アリの視点」と、国策から未来の投資キーワードを予測する「タカの視点」の2本を柱としつつ、徹底したリスク管理による投資法で着実に利益を積み重ねる。
「誰にでも、わかりやすく」にこだわり、ラジオ、セミナーなど多くの舞台で投資手法を伝え、一人でも多くの初心者が、株で収益を上げられるように日々活動を行っている。
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