大統領の実績が問われる重要な選挙

2022年の選挙といえば、日本では7月に参議院選挙がありますが、米国における最大のイベントは、11月8日に行われる中間選挙でしょう。

この中間選挙では、連邦議会上院の議席の約3分の1(34議席)と下院の全議席(435議席)が改選され、ロシアのウクライナ侵攻と急激な国内インフレに悩むバイデン政権に対する米国民の評価が明らかになります。
そして、2年後の大統領選挙の行方を占う材料となるとても重要な選挙と言えます。

この中間選挙の結果が米国の株価にどう影響を与えるかを注目していきます。

過去の中間選挙後の株価は上昇傾向、ねじれに注意も

中間選挙では、どんな要素が株価の上昇・下落につながっていくのでしょうか。まず、過去6回の中間選挙年のNYダウの株価の動きをグラフにしました。

<過去6回の中間選挙年のNYダウの株価の動き>

過去6回の中間選挙年のNYダウの株価の動き

※Dow Jones Industrial Averageより筆者が作成

中間選挙は「11月の第1月曜日を含む週の火曜日」と定められているため、10月末の株価(週足)を100として数値化しています。

中間選挙の半年後の株価はいずれも株価が上昇しています。
中間選挙後は政治の不透明感が払拭されることや、2年後の大統領選挙を目指して政権が景気対策を本格化させることなどから、株価が上昇する傾向があるのかもしれません。
足元の軟調な株式相場の中で、今回も中間選挙後の株高が期待されています。

次に、中間選挙後の現政権と議会の状況をまとめてみました。

<過去6回の中間選挙後の政権と多数党と株価増減率>

中間選挙年 政権 多数党 半年後のNYダウ騰落率
上院 下院
1998 クリントン(民主党) 共和党 共和党 25.6%
2002 ブッシュ(共和党) 共和党 共和党 0.8%
2006 民主党 民主党 10.7%
2010 オバマ(民主党) 民主党 共和党 15.2%
2014 共和党 共和党 3.6%
2018 トランプ(共和党) 共和党 民主党 4.9%
2022 選挙前 バイデン(民主党) 民主党 民主党

ここからは、選挙の結果と株価の上昇・下落には明確な相関関係はなさそうに感じられます。これは中間選挙では、政権が交代する「選挙」ではないことも影響していると考えられます。

現在、民主党のバイデン大統領の下、上院・下院ともに民主党が優位な「トリプルブルー」(民主党の政党カラーがブルーのため)の状態となっています。
現在のバイデン大統領の支持率が40.2%、不支持率は53.6%です。(2022年6月10日現在のFive Thirty Eightの情報を参照)

中間選挙では、約3分の1が改選される上院、全てが改選される下院で過半数を維持できるかが焦点となります。

ここで現政権と上院・下院の勢力が異なる「ねじれ」が発生すると、政策の遂行力が低下する恐れがあり、これが政権の基盤や支持率の低下につながります。
そうすると、2024年の大統領選挙に影響することも考えられます。

特に支持率は就任以降、ほぼ一貫して低下する傾向にあります。
就任当初から異例に支持率が低かったトランプ前大統領を上回るものの、中間選挙年の年初としては歴代大統領の中でも低水準での推移となっています。
中間選挙でねじれが発生すれば、バイデン政権の政策が議会を通らず、その結果、株式市場に悪影響を与える可能性も考えられます。

資産運用をする上で、この米国中間選挙も投資判断の一つの材料となりうるでしょう。

Max

Max

個人投資家。30年以上の国内外での投資の経験を活かしFPとして、多岐にわたる相談を受ける。
フロリダの大学在学中、某金融雑誌の編集長も務める大学教授から投資の本質を徹底的に叩き込まれる。その時培った投資手法を今でも実践。
米国や南米の富裕層との交流から、資産運用の重要性を肌で感じ、その後の考え方に多大な影響を受ける。
多くの人に投資の重要性とその素晴らしさを知ってもらいたく、投資信託と株の塾を主催。
現在は国内外に複数の企業を経営。

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