知っておきたい知識③:信用情報で相場の先行き予測

株式投資を行ううえで、知っておきたい「信用情報」を紹介します。

信用情報は一見、信用取引の用語のようですが、「その銘柄の株価が今後上がるのか下がるのか」を予測することができるという点で現物取引をする人も知っておくべき重要な指標です。このような指標や分析方法を知っておくことで、株式の売り買いの需要を読み取り、取引のタイミングを探ることが可能です。

ここでは、言葉の意味や指標の見方、分析方法や相場への影響を解説していきます。

知っておきたい知識③:信用情報で相場の先行き予測

1. 信用残とは

信用残とは

信用残とは信用取引で行われた「買い建て」と「売り建て(空売り)」の「残高の合計」のことです。信用取引は、投資家が証券会社等から一定期間、株式や購入資金を借り入れて行う株式の売買取引ですが、信用取引には定められた期限内(例えば制度信用なら6か月以内)に決済しなければいけないというルールがあります。そのため、株価の変動要因になることがあります。

auカブコム証券の銘柄情報画面では、各銘柄の「信用情報」と「日証金貸借取引残高」で信用残を見ることができます。「信用情報」は日本取引所グループが発表するもので一般信用と制度信用の合計、「日証金貸借取引残高」は日本証券金融が発表するもので制度信用の情報です。

参考:個別銘柄情報サマリの見方を教えてください。

2. 買い残・売り残とは

買い残・売り残とは

売り残とは

売り残とは

売り残とは、その銘柄において信用取引で空売りされたまま買い戻されていない売り建て残高のことです。売り残以外にも、「売残高」「信用売り残」「借株残」ともいいます。

つまり、売り残が多いということは、数か月以内に買い戻しがある可能性が高いと

📌 相場への影響

信用売りは、証券会社から株式を借りて株式を売る(空売り)取引です。信用売りは株価が下がると利益が得られる取引なので、売り残が多いということは株価が下がると考えている投資家が多いことを意味しています。

📌 ひとこと

売り残は、所定の期限までに反対売買(買い戻し)をしなければならないため、売り残が多ければ株価の上昇要因と受け止められるなど、その銘柄の今後の株価を占うひとつの目安となります。

💡 売り残のポイント

📝 取引期限がある制度信用取引

制度信用取引では、6カ月という期限が定められていて、6カ月以内に決済をしなければなりません。そのため、売り残が多いということは、今後株価が下がると考えている投資家が多いということになります。つまり、株価の下落要因になります。
一方で、決済のために6カ月以内に買い戻しが行われる可能性が高いといえます。そのため、これから多くの買いが出てくると考えれば、売り残が多いということは株価の上昇要因にもなるといえます。

買い残とは

買い残とは

信用取引において、信用買いをされて、まだ決済されずに残っている株式の残高(株数)のことを指します。
信用買いは、証券会社から一定期間お金を借りて株式を買う取引です。信用買いでは証拠金を担保に、時にはその証拠金を上回る金額分の株を買うわけですから、買い残が多いということは株価が上がると考えている投資家が多いということになります。

📌 相場への影響

「買い残」は将来の株式の売り需要の積み上がりといえます。そのため、買い残の大幅な増加は、将来の売り圧力が強まる可能性があり株価にとってマイナス要因といえます。
しかし増加の初期の段階では、その銘柄が人気である証拠として評価されることもあります。

💡 買い残のポイント

📝 信用残の確認方法

信用残は、日々の新聞紙上や証券会社が提供する投資情報ツールなどで前日の残高を確認することができます。買い残が多いときには、期日までに反対売買(売却)をして決済する投資家が多いわけですから、先行きの売り圧力になり、株価にとってはマイナス要因と判断されることもあります。

3. 信用倍率とは

信用倍率とは

信用取引の「買い方」と「売り方」の状況を表す指標です。つまり、買い残高と売り残高のバランスを示す指標といえます。貸借倍率ともいいます。

信用倍率は、「買い残 ÷ 売り残」で計算されます。値が1よりも大きければ、買い残が売り残よりも多いことを示し、逆に1よりも小さければ売り残の方が買い残よりも多いことを示します。

💡 相場への影響

信用倍率は、買い方が売り方よりも多い1倍以上が一般的と言われています。
信用売り残が増えて1に近づいてくると、株価が上昇する可能性が高まることから、株式市場では好感されます。逆に、倍率が高まると、買いが一方的で相場が過熱していると言われます。

●計算式

信用倍率信用買い残 ÷ 信用売り残

auカブコム証券のお客さまは、ログイン後の「個別銘柄情報」画面にて、銘柄毎の信用倍率をご確認いただけます。

📝 個別銘柄以外の信用取引残高方法

  • 取引所の信用取引残高

東京証券取引所や名古屋証券取引所の信用残高を確認することができます。週に1度の公開となりますが、市場全体の動向を把握することができます。

  • 日証金貸借取引残高

証券金融会社である日証金も信用取引残高を毎日発表しています。リアルタイムの状況がわかるというメリットがある一方、この取引残高は日証金の元にあるデータのみで、市場全体の数値ではないため、正確性に欠けるのがデメリットです。

まとめ

知っておきたい知識③:信用情報で相場の先行き予測

  • 売り残とは、信用売りの決済していない残高
  • 買い残とは、信用買いの決済していない残高
  • 売り残が多いと株価の上昇要因
  • 信用倍率とは、売り残と買い残のバランスを示す指標
1 取引前に知りたいこと
2 株を買う
3 管理・売却する
4 ステップアップ