リスクオフへの備えとしての債券投資

2019年12月2日

リスクオフへの備え

米中貿易摩擦や英国のEU離脱懸念により、世界経済は不安定な状況となっている。
米中貿易摩擦の長期化や中東の地政学的リスクなども意識されており、潜在リスクを内包した不安定な状態が今後も継続する見方もある。
こうしたことから、リスクオフへの備えとして債券投資を検討するのはいかがだろうか。以下に債券の主な特徴を記した。

債券の主な特徴

海外債券投資の魅力

①日本よりも高い外国債券の利回り

日本国債がマイナス金利に突入する中、外国債券の利回りは日本と比較して相対的に高い水準である。
以下、各国10年国債の利回りを比較してみた。外国債券の利回りは日本と比較して相対的に高い水準にある。公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も外国債券の運用を拡大している。日銀のマイナス金利政策で日本国債を買いにくくなっており、世界最大規模の運用資産を持つGPIFの運用方針にも大きな影響が出ている。そのような背景もあり、こうした国々への「国際分散投資」が有効と考えられる。

日本よりも高い外国債券の利回り


②安定した値動き

主要資産の中で、先進国国債は一定のリターンを確保しつつ、他の資産クラスとは相対的にリスクが抑えられており、また、市場規模が大きいため流動性の面でも優れている。以下の図では主要資産(円ベース)の年間リターンと市場規模を比較した。

安定した値動き

(±1標準偏差の範囲は、統計的に全データの約3分の2(約68.3%)がこの範囲に分布していることを示しています。)

また、利子収益の積上げ効果により為替や債券価格の変動による損益のブレをカバーする効果も期待される。以下では、先進国国債(円ベース)の投資収益の要因分析を記した。

先進国国債(円ベース)の投資収益の要因分析

海外債券投資の魅力

中長期的な投資においては、リターンの追求よりもリスクの低減がより重要になる。様々な市況環境を乗り越えながらも、資産を守るためには分散投資が重要となる。そのために、債券のような「リスクが独立している資産」をポートフォリオに組入れる重要性が増していくだろう。

加えて、米中通商問題の長期化や世界経済の減速懸念、米国のさらなる利下げ観測とそれに伴う米ドルの下落懸念などを背景に、足元で世界的に株式市場が混乱しており、この先の予測は従来よりも増して非常に難しくなっている。だからこそ、債券を組入れる意味が強まるものと考えられる。
なお、債券への投資方法には、銀行や証券会社などで購入する方法のほか、債券に関連した投資信託を通じて「債券」に投資をすることができる。一般に投資信託であれば、少額から始められ、他の運用商品などと一元管理がしやすく、かつ、NISA(少額投資非課税制度)なども活用できる。

【海外債券を投資対象とした投信】

  ファンド名 運用会社 トータルリターン
(1年)
純資産総額(億円) 販売手数料
1 たわらノーロード 先進国債券 アセットマネジメントOne株式会社 4.92% 103 ノーロード
2 ニッセイ高金利国債券ファンド ニッセイアセットマネジメント 3.76% 274 ノーロード
3 三井住友・DC外国債券インデックス 三井住友DSアセットマネジメント 4.85% 637 ノーロード
4 SMT グローバル債券インデックス・オープン 三井住友トラスト・アセットマネジメント 4.57% 173 ノーロード
5 グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型) 三菱UFJ国際投信 4.18% 4122 ノーロード
6 eMAXIS Slim先進国債券インデックス 三菱UFJ国際投信 4.06% 67 ノーロード

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