2017年の相場見通し

謹賀新年

2017年の相場見通し

当社投資情報室より、2017年のマーケットついてご案内いたします。 新年のお取引に是非お役立てください。

  • マーケットアナリスト 山田勉
  • チーフストラテジスト 河合達憲
  • 投資アナリスト 藤井明代

投資アナリスト 藤井明代

予想レンジ

藤井明代

カブドットコム証券 投資情報室 投資アナリスト

東京都出身。大手ネット金融グループを経て、2013年10月カブドットコム証券。
2014年4月より投資情報室メンバーに加入。売買手法や相場解説などを初心者の方にも分かりやすく解説することに定評あり。
株主優待にも詳しく、マルチスキルを持つスタッフとして人気上昇中。

2017年の見通し

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

2016年は世界の金融市場を翻弄する出来事が相次ぎ、まさに「申酉騒ぐ」の相場格言通りの年になりました。年初から上海総合指数の急落や原油安など、外部環境の悪化を受けて波乱の幕開。1月には日銀によるマイナス金利導入が決定し、その後も中国を起点とする世界景気減速懸念の台頭、大方の予想を覆す結果となった6月のBrexit(ブレグジット)や11月のトランプ氏の米大統領選勝利など、歴史に残る大イベントを通過しました。そして、11月以降はトランプ次期政権への期待をきっかけに相場の様相は一変。年末へ向けて日経平均は年初来高値を更新する強い動きをみせました。

2017年も引き続き、トランプ次期政権による積極的な財政政策期待を背景に米国主導で世界経済を押し上げると予想しています。11月28日にOECD(世界協力開発機構)が発表した最新の経済見通しでも、2017年の世界経済の見通しは9月時より0.1ポイント上方修正され3.3%増と成長が加速する予想となっています(図1)。米国はトランプ氏の大統領選勝利を織り込み、2017年は0.2ポイント上方修正して2.3%増、2018年については3.0%増と経済成長が加速する予想が出ています。日本についても、2017年は1.0%増と0.3ポイント上方修正されています。両国ともに経済・財政政策の効果が押し上げ要因になりますが、特に2017年以降はトランプ時期大統領の真価が問われ、その動向が日本や世界経済を揺るがす要因になると思われます。

他方、中国は2017年・18年と成長が鈍化する見通しです。12月に入り中国の習近平国家主席が経済成長率について、政府目標の6.5%を下回ることを容認するなどとも報道されており、2017年においても中国経済に対する懸念が残る点には注意が必要となりそうです。

【図1:OECDの経済見通し】OECDの経済見通し※OECD(世界協力開発機構)の「経済見通し(エコノミック・アウトルック)」を基に作成

また、2017年は欧州を中心に政治イベントが相次ぐことから、欧州市場の動向からも目が離せません。2017年3月のオランダ総選挙、4月からはフランス大統領選、イタリア総選挙、年後半はスペイン国民投票やドイツ総選挙などを控えています。特にEUの中心となるドイツやフランスの総選挙は重要日程として、相場変動リスクを念頭に置いておきたいところです。

2017年相場テーマ予想

日本株式市場にフォーカスすると、2016年前半はそーせい(4565)やブランジスタ(6176)といったマザーズ指数を牽引する銘柄に資金が集中し、テーマ株として市場を賑わせました。年後半においてマザーズ指数は調整色を強めましたが、夏にはAR技術を取り入れた「ポケモンGO」で任天堂(7974)が、そして秋には「PSVR」を販売したソニー(6758)など、関連銘柄を含めテーマ株への物色は旺盛となりました。その他にも、フィンテック、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、自動運転、越境EC(国際的な電子商取引)といった様々な技術やサービスがマーケットの話題となりました。
2017年についても、トランプラリーを背景とする大型株主導の売買が中心となる一方で、こうしたテーマ株への関心の高まりは継続すると予想しています。
以下より、2017年に相場を賑わしそうなテーマと主な関連銘柄をご紹介していきます。

シェアリングエコノミー

空間、乗り物、モノ、スキルなどの無形を含む遊休資産の貸出しを仲介するサービスを指すシェアリングエコノミー。この世界市場規模は2013年の150億ドルから2025年には3350億ドルへ、12年間でおよそ22倍に急拡大する見込みとなっています(PwC「The sharing economy - sizing the revenue opportunity」)。日本でも所有型から共有型へと消費意識が変化している点に加え、規制緩和などへの措置が検討されていいます。引き続き、幅広い業種へシェアリングエコノミービジネスが広がりを見せそうです。

【シェアリングエコノミー関連銘柄(一部)】
コード 銘柄名 市場 業種 特徴
2120 ネクスト 1部 サービス業 井上社長が新経済連盟シェアリングエコノミー推進TFリーダー。空き家を有効活用するクラウドファンディングの事業化を検討。
8909 シノケングループ JQS 不動産業 都内で民泊対応型マンション開発を推進。プロパスト(3236)と連携。駐車場シェアリング最大手「akippa」社とも提携し、空き駐車場を活用。
3900 クラウドワークス マザーズ 情報・通信業 国内最大級のクラウドソーシング会社。オンラインの仕事マッチングサイトを運営。吉田社長が一般社団法人シェアリングエコノミー協会メンバー。
4751 サイバーエージェント 1部 サービス業 クラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」を運営。
8251 パルコ 1部 小売業 インキュベート・クラウドファンディング「BOOSTER」を運営。次世代の才能育成を目指す。
ワイヤレス給電

電源ケーブルを使わずに無線で電気を供給するワイヤレス給電。近年ではウェアラブル端末やスマホへの対応も進み、今後は工場やEV(電気自動車)やコネクテッドカーなど次世代自動車への搭載が進むことが想定されます。

【ワイヤレス給電関連銘柄(一部)】
コード 銘柄名 市場 業種 特徴
6723 ルネサスエレクトロニクス 1部 電気機器 小型化、長時間駆動に大きく貢献する新しいワイヤレス充電ソリューションを開発。
6762 TDK 1部 電気機器 ワイヤレス給電システム製品を開発・販売。2016年10月に同社と東芝が「TDKオートモーティブテクノロジーズ」を設立。
6963 ローム 1部 電気機器 ワイヤレス給電チップセットなどを販売。WPCのレギュラーメンバーとしてワイヤレス給電規格Qi規格の策定の段階から協議に参加。
6622 ダイヘン 1部 電気機器 ワイヤレス給電システムの開発を行う。2014年12月からワイヤレス給電用の自社サイトを公開するなど注力。
4312 サイバネットシステム 1部 情報・通信業 コイルアンテナからシステム・回路までのワイヤレス給電システムを解析するためのトータルソリューションを提供。
マグネシウム電池

リチウムイオン電池に置き換わると期待される二次電池のひとつ。リチウムイオン電池と比較すると、高エネルギー密度・高安全性・低環境負担・低コストなどに優れる。マグネシウムは地球上で8番目に多い元素であり、海水中の含有量が多いメリットを踏まえ、開発の進捗が注目されています。

【マグネシウム電池関連銘柄(一部)】
コード 銘柄名 市場 業種 特徴
7267 ホンダ 1部 輸送用機器 2016年10月、埼玉県産業技術総合センターと世界で初めてマグネシウムを使い、繰り返し充電できる2次電池の実用化にメドを付けたと報道。スマホなど小型電子機器用に2018年の製品化を目指す。
7995 日本バルカー工業 1部 化学 コンシュマー市場向け「水空気マグネシウム電池」を日本協能電子社と共同開発。
4026 神島化学工業 2部 ガラス・土石製品 海水法により安価で安定供給が可能なマグネシウム化合物などの化成品事業を手がける。2016年10月にマグネシウム増産設備が完成。
6937 古河電池 1部 電気機器 凸版印刷(7911)と世界初の紙製容器でできた非常用マグネシウム空気電池「MgBOX」を開発。
5121 藤倉ゴム工業 1部 ゴム製品 スマートフォンを最大5台同時に充電できる「非常用マグネシウム空気電池「WattSatt」を発売。
船舶バラスト水規制管理の国際条約発効

2017年9月8日に発効が決定している船舶バラスト水規制管理の国際条約。船舶のバランスを保つため「重し」としてタンクに注水される海水であるバラスト水。これによる生態系への環境問題などを背景に、発効後は原則として5年以内に国際航路を航行するすべての船舶にバラスト水処理装置搭載や管理が義務付けられます。処理装置を開発する企業に加え、装置に必要となるポンプやフィルターなどの部品を手がける企業や設置後のメンテナンスなどを含めた新需要も期待されます。

【バラスト水関連銘柄(一部)】
コード 銘柄名 市場 業種 特徴
6005 三浦工業 1部 機械 バラスト水処理装置「HK」を開発。政府のバラスト水処理装置承認済。中期経営計画でバラス水処理装置売上目標を2018年度に100億円と発表。
7003 三井造船 1部 輸送用機器 オゾン利用によるバラスト水処理システムを開発。政府のバラスト水処理装置承認済。
6237 イワキ 2部 機械 バラスト水処理向けの定量ポンプなどを手がける。
6322 タクミナ 2部 機械 薬剤注入方式の処理装置において、同社のスムーズフローポンプなどが採用されている。バラスト水処理装置用は増産対応へ。
7018 内海造船 2部 輸送用機器 日立造船系。次世代船への取り組みとしてバラスト水処理装置を手がける。

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