2018年の相場見通し

謹賀新年

2018年の相場見通し

当社投資情報室より、2018年のマーケットついてご案内いたします。 新年のお取引に是非お役立てください。

  • マーケットアナリスト 山田勉
  • チーフストラテジスト 河合達憲
  • 投資アナリスト 藤井明代

投資アナリスト 藤井明代

予想レンジ

藤井明代

カブドットコム証券 投資情報室 投資アナリスト

東京都出身。大手ネット金融グループを経て、2013年10月カブドットコム証券。
2014年4月より投資情報室メンバーに加入。売買手法や相場解説などを初心者の方にも分かりやすく解説することに定評あり。
株主優待にも詳しく、マルチスキルを持つスタッフとして人気上昇中。

歴史的転換点を迎えた2017年と日経平均テクニカル

あけましておめでとうございます。
旧年中は格別のご高配を賜り、心よりお礼を申し上げます。
本年もカブドットコム証券、そして投資情報室をよろしくお願いいたします。

2017年の日経平均は非常に堅調な推移を辿ったといえます。
チャート上では年足で大陽線を立て、6年連続で陽線を維持しました。連続陽線の出現は、投資家の買い意欲が旺盛であり、先高観が強いことを示唆します。

2017年を振り返ると、年前半は2万円を前に足踏み状態が続き、3月頃まで2万円を上値抵抗としたレンジ相場が継続しました。その後も2万円を突破できず、4月にかけて米朝関係の悪化や欧州政治不安などから調整局面を迎えました。しかし、5月の仏大統領選で中道系独立候補であったマクロン氏が勝利し、欧州の地政学リスクが後退。円安進行も追い風に一気に値を戻し、6月には1年半ぶりに2万円台を回復しました。その後は2万円台の持続力が問われる中、北朝鮮リスクなどが重荷となり夏場に再び調整するも、9月19日に衆院観測が浮上し、調整局面から一段高の展開に。そして、10月には史上初となる日経平均16連騰を記録。「解散・総選挙は買い」のアノマリーごとく、11月にかけて上昇基調が継続しました。さらには、過去最高値の更新を続ける米国株の強さも加わり、11月7日には1996年6月のバブル崩壊後の戻り高値22,666円を更新しました。同日には、取引時間中に約26年ぶりの高値水準を更新するなど、まさに歴史的な転換点を迎えた年となりました。

【2017年日経平均動き(日足)】

  • 出所:kabuステーション®よりカブドットコム証券作成

上記のチャートを見ると、現在の日経平均(日足)の25・75・200日移動平均線がすべて上昇基調にあり、短期・中期・長期ともに上昇トレンドが継続していることが分かります。
また、2016年後半から上向きに転じた200日移動平均線が下値のサポートとして機能しています。黄色の点線枠で記した通り、2017年の日経平均の調整局目において200日移動平均線に近付く、あるいはタッチした後は反発基調に転じています。
移動平均線は相場に携わる人々から「移動平均線に始まり、移動平均線に帰る」といわれるほど重要性が高く、特に200日移動平均線は長期投資家も意識するポイントです。そのため、今後においても一つの下値サポートとして機能する可能性があると考えます。
2017年12月25日現在では20,370.04円であり、今後においてはその方向と共に、同水準を下値として注目しておきたいところです。

次に、足元のローソク足をみると、11月頃から年末まで、終値ベースで2万3000円が上値抵抗として意識されています。11月7日には取引時間中に一時突破しましたが、終値では押し返されています。今後は同水準を終値ベースで維持できるかによって、2018年の年始からの値動きを左右する可能性があるとみています。2017年の年始に2万円手前でレンジ相場を継続した期間と同様、現在も2万3000円前後でのもみ合いが継続していることから、さらなる一段高へのきっかけには、やや大きめのプラス材料が必要となる可能性があると思われます。

バリュエーション面からみる日経平均の見通し

バリュエーション面では、日経平均のEPS(一株利益)とPERから今後の行方を占います。
2017年12月25日現在、日経平均のEPSは1,511.14円です(日経平均:22,939.18円、PER:15.18倍)。
来期のQUICKコンセンサス予想では、2018年度の日経平均採用銘柄の1株利益の平均増益率は+10.76%です。現在のEPSから算出した期待値は、EPSが1,674.35円となります。このEPSの期待値を現在のPER15.18倍で算出すると、日経平均は25,416.61円となります。つまり、企業利益が市場の期待値通りに推移すれば、2018年度には25,000円台を目指す展開が考えられます。
コンセンサス予想が強気と仮定し、仮に1株利益が約半分の+5%にとどまった場合でも、EPSは1,586.70円となり、日経平均は24,086.14円を目指すと計算できます。

次に2017年のPER推移を追っていくと、PERの最大値は16.60倍、最小値は13.67倍です。コンセンサス予想のEPSで算出するとPER最大水準では日経平均が27,794.19円、最小値では22,888.35円となります。
上記までの市場期待値とPERの過去推移から日経平均のレンジを予想すると、2万1000円台から2万7000円台での推移が想定されることになります。

2018年も日米金融政策の行方に注目

上述まで、日経平均のテクニカル面の注目ポイントとバリュエーション面からの想定レンジを算出しました。
しかし、日経平均は企業業績のみならず、国内外の環境変化や為替、金利、債券動向が値動きを大きく左右します。
国内では日銀の黒田総裁が2018年4月8日に5年の任期満了を迎えます。現日銀による大規模緩和の継続はマーケットの安心材料として機能しており、特に年間約6兆円規模のETF買いが日経平均を下支えしていることは言うまでもありません。黒田総裁の任期満了後、現政策に変更などが生じるのか、後任人事の行方に注目です。

また、外部環境では引き続き米国の金利動向に注目しています。米国では2月にイエレンFRB議長が任期満了となり、次期議長としてパウエル氏が指名されています。就任後の同氏のマーケットからの評価、そして正常化へ向かう金融政策への舵取りについて、慎重に追っていく必要がありそうです。

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